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ナンバー17、2010年 目次へリンク 2010年11月30日発行
特集 KOSMOS III―新図書館システムの導入―:第2部
AlephをKOSMOS IIIとして稼動させるために―Alephでの目録業務設計―
古賀 理恵子(こが りえこ)
メディアセンター本部
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 慶應では1998年から書誌にMARC21フォーマットを採用している。今回のリプレースで書誌フォーマットに変更がないということは,データや業務の移行にとって,大きな救いとなった。しかし,一方でAlephがKOSMOS IIIとして稼働するためには,諸データとの関連性,他の業務やサービスとの関連性を以前よりも一層意識する必要があった。

システムの統合・組織の統合
 新システムの導入により,KOSMOS II時代には分離されていた発注/受入システムと目録システムが1つに統合された。これを複数の館・担当で利用するため,各プロセスで混乱が生じないように書誌コントロールを一定の基準に従って行う必要がある。また,書誌にリンクしている発注・支払・購読管理等のデータ構造を総合的に把握する必要があり,受入・目録担当間の連携が求められる。また,1997年来,別データベースで運用されていた総合目録と特殊言語目録(中国・朝鮮・アラビア・ロシア語目録)が統合されたことも大きな変更である。
 さらに,組織の面でも,図書と雑誌の目録担当が統合された。以前は各館でのサービス,資料の扱いが慣習的に目録の記述自体にも持ち込まれがちだったが,資料の属性によって目録を作成するという当然のことが体制としても形づけられるようになった。

Aleph目録システムの特徴
 Alephには,目録フォーマットに準拠し,書誌作成をサポートする様々な機能が用意されている。非常にロジカルで高機能である反面,設定したコントロールに厳格で,例外やカタロガーの裁量に任せるといったことが許されない。一方で,便利になってほしいと思うポイントが,Alephの持つ機能と必ずしも一致しないというケースが散見された。また,世界各国に利用機関を抱える多言語対応のシステムとはいえ,日本語を主たる言語として書誌をハンドリングするにはやはり手かずが掛かることは否めなかった。
 システムの機能を検証し,採用する部分,しない部分を整理すると共に,Alephに用意されていないが業務上必須な要素,特に日本語や日本固有の事情に関連する部分については,外付けシステムを自主開発して補完した。Happiness Gateway(日本語の分かち書きのためのインデックス生成システム),書誌フォーマット変換システム,請求記号付与システム,Item内のデータ項目一括自動更新等,Alephと連携し,且つ外付けにすることで運用の自由度を確保することができた。全体を通し,他の業務の妨げにならず,また,システムに負荷がかかりすぎないバランスのよい開発をすることを心がけた。

書誌単位の変更
 一般書の目録作成コストを削減することは今回のリプレースの大きな目標であった。そのためには目録におけるコピーカタロギングの割合を大きくすることが必要である。外部データベース上の既存の書誌を効率よく流用し,記述に関する修正作業を極力少なくすることが求められる。
 慶應では,ローカルルールとして「著作責任単位」(同一の著編者の下のタイトルを1書誌として作成する)の書誌を維持してきたが,これを見直し,一般的にオンライン上で利用され,流通している書誌単位に合わせる変更を行った。これは長年に渡り積み重ねられ,形成されてきた慶應の目録データに対する大きな方針変更となったが,メタデータとして物理的な識別が可能で,且つデータ交換がしやすい書誌単位に切り替えたことにより,目録業務再編の可能性が拡がったと考えられる。
 加えて,OPACやKOSMOS(総合検索ツール)での工夫等によって,書誌単位の相違が存在しても違和感のない検索や表示を実現することが期待できた。

著者名典拠の復活
 もう1つの大きな変更点は,著者名典拠ファイルの復活である。二世代前のKOSMOS IではNACSIS-CATの型を拡張した書誌フォーマットを採用し,典拠レコードもダウンロードして使っていた。しかし,NACSIS-CATの典拠レコードのカバー率が高くなかったこと,一方では典拠ファイル運用に伴うシステムへの負荷の限界から,KOSMOS IIへのリプレース時に典拠ファイルの維持を中止し,以後,「インデックスとして著者標目の記述を揃える」作業を行ってきた。
 KOSMOS IIIでは,標目の記述方針が異なっていた総合目録と特殊言語目録の統合に伴い,重複レコードの調整等が必要になるということ,また今後,和漢古書等の著者の表現への対応も視野に入れ,著者名典拠ファイルを復活することを決定した。
 海外の典拠ファイルで日本人名に対して標準的に採用されている「ヨミを“1つの形式として”See also扱い」するのではなく,“漢字形とヨミとの組み合わせに意味がある”日本語の著者標目であることを念頭に,典拠の記述方式を検討した。通常の典拠データベースでは扱えないため,AlephのMultilingual対応データベースを利用することにした。
 その際,2012年の1月には国立国会図書館(以下,NDL)がAlephでの業務を開始するため,日本語典拠を同じ記述方式で運用すべくNDLの目録担当者とも協議を重ねた。こうして実装した記述方式は,多少冗長ではあるが,Alephの機能を最大限に使って実現できるものであると考えている。
 また,開発者の協力を得て,Happiness Gatewayを拡張し,典拠レコード作成・更新の機能を実装することで目録担当者の負担を軽減することができた。将来的には,NDLとのデータ利用・交換が可能になることを希望している。

課題
 今回のリプレースに際しては,データ移行をする上で必須の要件についてのみ書誌・所蔵データの改修を行った。一方で機械的なデータ処理では望ましい修正が期待しにくく,手作業では数量的・時間的に困難があるため,移行後の対応を前提にしたデータ群が存在する。また,遡及入力等を含め,以前からの積み残しを抱えた状況でのデータ移行であった。短期的に解決することは難しい問題が多いが,今後対策を検討することが望まれる。
 また,KOSMOS IIのインデックスから自動生成し,搭載した典拠ファイルに対しては,リンク作成や泣き別れの統合といった作業を積み重ねていく必要がある。Alephの機能を駆使しつつも,人の判断が必要とされる作業である。今後データ整備が進行し,目録作業の効率化にもつながることを期待したい。

おわりに
 システムリプレースは,単純に移行を実施して終わるだけでなく,現行業務を見直し,今後のサービスの展望を踏まえながら業務整理を行う契機となった。
 慶應では電子資料の提供数も10年前と比較すると格段に増加し,KOSMOSで検索可能なメタデータの中で,カタロガーの手にかかる目録データは一部となった。その中で,必要な要素が盛り込まれた書誌を作成し,検索に有効なアクセスポイントを用意し,必要なアクセスポイントのコントロールを行って,利用に寄与することは目録セクションの責務である。また,目録作業効率化後の人的資源をどのように活用するか,コピーカタロギングで扱えない資料をどのように整理していくか等,考えるべきことは多い。
 各メディアセンター,本部の方々の協力を得て何とか稼動にこぎつけることができたが,至らない点が多々ある。また,今後の運用については多くの意見を結集し,改善していけることと考えている。1年半のプロジェクトは体力・気力が求められる局面もあったが,沢山のことを学ぶ機会となり,充実したよい経験となった。多くの方々から支えられ,大変恵まれた時間をいただいたことをここに改めて感謝したい。

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