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慶應義塾大学の図書館で働く

大学職員としての活躍の場

慶應義塾大学では、図書館サービスを通して教育・研究・医療支援を行うために必要な専門知識やスキルを持つスタッフが数多く活躍しています。 図書館独自での採用は行っていませんが、慶應義塾職員としてどのように図書館で働いているのか、図書館長と先輩スタッフからのメッセージをお届けします。 採用情報については慶應義塾職員採用サイトをご覧ください(採用は義塾職員として実施されます。将来的には他部署への配属となる可能性もあります)。

館長メッセージ

一歩先を行く図書館で一緒に働きませんか

director慶應義塾大学では、およそ30年前から図書館を運営する組織をメディアセンターと称しており、学生たちも愛着を込めて図書館を「メディア」と呼んでいます。これは紙の本を蔵書とする図書館の一歩先を行くサービスを提供しようというポリシーを反映するものです。

慶應義塾大学は、1951年アメリカ図書館協会の指導の下に日本で初めてライブラリー・スクールが設置された大学であり、図書館も海外の事例を参考にサービスを構築・改善してきました。職員の海外研修の歴史は1965年まで遡り、これまでに延べ50名以上が中・長期に派遣されています。500万冊を超える蔵書の中には、グーテンベルク42行聖書、重要文化財を含む貴重書や、個人文庫をはじめとしたユニークなコレクションも多数あり、展示会の開催やデジタル化により広く公開しています。2019年には早稲田大学図書館と日本では初となる図書館システム共同運用を開始し、紙と電子双方の資料の検索・アクセスを一つのプラットフォーム上で実現しました。新型コロナウィルス感染症拡大による図書館休館という事態にも電子資料を遅滞なく提供することができました。

そして現在では、国際的に研究を推進するためのコレクションのデジタル化、慶應義塾大学の研究成果の発信、学生の自発的学習支援などにも図書館がその役割を果たすことが大きく期待されています。その期待に応えるために、私たちは図書館の運営やサービス展開に広く関わることができる職員に加えて、大学の情報技術部門と連携して図書館のデジタルトランスフォーメーション基盤を構築するICT能力のある人材や、古典籍に造詣の深い人材を求めています。 私たちの図書館で働く人はその前提として慶應義塾大学職員でもあり、大学職員としては以下の資質が求められています。

  • 大学を取り巻く環境変化、情報技術の進化に対して常にポジティブに学ぶ姿勢を持っていること
  • 他者・他部門とのかかわりを大切にし、適時適切なコミュニケーションが図れること
  • 日本の文化に対する深い理解とともに異文化への理解と、語学力を持っていること
    • さあ、私たちと一緒に慶應義塾大学における教育・研究、そして医療活動を支援し、社会に貢献していきませんか。
      慶應義塾図書館長 須田伸一
    理工学メディアセンター レファレンス担当スタッフ(2018年入職:経験者採用)

    riko_staff私は2018年の秋に経験者採用で慶應義塾に入職しました。前職では書店員として店舗で働いており、接客や商品の発注、フェアやイベントの企画運営等を行っていましたが、大学時代に取得した司書資格を活用できる職に就きたいと考え、メディアセンターへの配属を第一志望とし、経験者採用に臨みました。義塾全体での募集だったため、どの部署への配属の可能性も十分にあり、前職での対人経験が生かせそうな学生支援や総務を第二志望にしていましたが、入職5日目には理工学メディアセンターへの仮配属が決まりました。4カ月後にはそのまま本配属となり、本配属を告げられた時は、このままメディアセンターで働けるんだ、と嬉しかったことを覚えています。

    理工学メディアセンターでは、レファレンス担当として、電子ジャーナルやデータベースの使い方、資料の探し方などのセミナーを行ったり、利用者の資料に関する質問に答えたりしています。現在の業務はパブリックサービスと呼ばれる利用者と直接関わる業務に分類されるため、書店時代に培ったコミュニケーション能力が非常に役立っています。また、その名の通り、理工学分野の専門図書館として機能する理工学メディアセンターの利用者は、その道の研究者が多くいます。根っからの文系でPCも不得意だった私は一から覚えなければならないことも多く、配属から2年以上経った今も勉強の毎日ですが、セミナーの受講者から「わかりやすかった」「説明が丁寧だった」と感想をいただくことができるようになり、励みになっています。どの職種にも通じることかと思いますが、関わった方から感謝の言葉をいただけるのはやはり嬉しいですね。

    私自身は慶應義塾の出身ではなく、入職するまで義塾との関わりは一切ありませんでした。また、司書資格はあると言っても、図書館・情報学を専門に学べる義塾出身の職員も働いている中で自分がやっていけるのか不安でしたが、周りの人に助けられ、さまざまな知識を吸収しながら働くことができています。今後どのキャンパスに異動してどの業務に就いても、新しい知識や足りないことを吸収して頑張っていきたいと思います。

    三田メディアセンター スペシャルコレクション担当

    spcoll三田メディアセンター(慶應義塾図書館)は5件の重要文化財やアジアで唯一所蔵しているグーテンベルク42行聖書をはじめ、約2万点のスペシャルコレクションを所蔵しています。「スペシャルコレクション」とは、貴重書、マニュスクリプト(写本)、アーカイブ(文書)を包括した名称です。これらの資料を大切に保管するだけでなく、積極的に授業などの教育活動に活用することを担っているのが、スペシャルコレクション担当になります。貴重書やアーカイブ資料の整理(目録作成や装備)、書庫管理、利用希望への対応(閲覧、貴重書活用授業、画像提供、展示出品)、デジタル化など業務は多岐にわたり、貴重書に関するミニ図書館を運営しているかのようです。近年特に増えているのが展示に関する業務で、毎年秋に丸善・丸の内本店ギャラリーで開催している慶應義塾図書館貴重書展示会は30年以上続く大きな催事です。造詣が深い教員を監修者に迎え、学びつつ協力しながら準備を進めて、最終的に展示会が成功した時の達成感はこの上ないものがあります。2021年に開館した慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)、福澤諭吉記念慶應義塾史展示館等と連携した動きも増えています。

    スペシャルコレクション担当は、研究者とは異なる事務職員の立場でこれらの業務に取り組んでいます。現在の専任職員は3名、それぞれ日本史学、美学美術史学、図書館情報学を学んだ経験を持ち、新卒での入職、経験者採用の大学院博士課程出身者など経歴もさまざまで、他担当との人事異動もあります。世界的な価値のある貴重書に手を触れながら行う作業は緊張感が伴いますが、大学の研究・教育活動、また社会への貢献を実感できることも多く、何物にも代えがたい充実感があります。

    現在、国内外の大学には、研究成果や所蔵する文化財等の学術情報を広く公開することが求められています。スペシャルコレクションを通じた世界への情報発信を担い、今後ますます重要性が高まっていくやりがいのある職場といえます。

    メディアセンター本部 システム担当スタッフ(2016年入職:経験者採用)

    sys_staff私は2016年に経験者採用で慶應義塾に入職しました。前職ではシステムエンジニアとして主に公共系や流通・サービス業の顧客へのサーバ構築やシステムの運用業務を担当していましたが、もっと学術研究に貢献できるような仕事に携わりたいと考え、それまでの業務知識を活かせる図書館システム職員として慶應義塾に入職しました。

    私の所属するシステム担当は、メディアセンターで扱われる、システムと名が付くほぼすべてのもの(ICT関連)に関係することができます。基盤となる図書館業務システム、スタッフが業務で利用するPC・プリンターやサーバ機器といったハードウェア、それらをつなぐネットワーク、利用者へサービスするためのWebサービス、セキュリティ(個人情報扱い含む)、図書館資料や利用者といった膨大なデータの処理、貴重書の画像処理、権利処理、さらには、在宅勤務や遠隔会議の支援など、多岐に渡ります。

    最近での大きな取組みとしては、早稲田大学図書館とのシステム共同導入があり、システム担当は、そのシステム面での中心として活躍する場がありました。

    忙しいことも多いですが、慶應義塾の研究・教育・医療の基盤となる資料群を利用するためのサービス基盤を支えていることを自負しながら日々の業務に取り組み、また、新しい技術や、システムなどに積極的に関わってくことで自分の成長も感じることができる、やりがいのある仕事だと思っています。

    今後のキャリアとしては、現在主に担当している実務面でのサポートに加えて、メディアセンターの各種業務やサービスにおけるワークフローを抜本的に見直すデジタル・トランスフォーメーションに向けての取組みにも関わっていき、システム面からサービスのレベルをさらに向上できるように努めていきたいと思っています。

    100年を超える歴史を持つ慶應義塾大学の図書館の伝統を元に、目まぐるしく変わりゆく環境に対応して、利用者サービスを提供する基盤を支える担当として、今後も頑張っていきたいと思います。

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    三田メディアセンター 閲覧担当スタッフ(2014年入職:新卒採用)

    mita_staff私は2014年に慶應義塾職員として採用されました。1か月半日吉キャンパス事務センターで職場研修を受け、最初の配属先は日吉メディアセンターレファレンス担当でした。日吉は多くの学部1・2年生が所属するキャンパスです。高校を卒業したばかりの新入生から教員・研究者まで幅広い問い合わせに対応しますので大変なこともありましたが、自分が学生時代には知らなかった便利な資料を見つけたり、参考としてあたった資料から意外な知識を身に付けたりすることができました。3年後には、三田メディアセンター選書担当に異動し、主に予算管理・資料選定・発注/契約等の業務を担当しました。直接利用者に関わることは少ないですが、利用者へのサービスがスムーズに提供できるよう後方から支えるやりがいを感じました。またこの間、海外研修として英国・セインズベリー日本藝術研究所のリサ・セインズベリー図書館に約3か月滞在しました。英国・仏国内の図書館を訪問し、欧州の研究・教育・学習活動支援の様子を学ぶ機会に恵まれました。その準備の際は、慶應義塾の職員に対する英会話スクール受講費補助制度も利用することができました。

    現在は閲覧担当として再び利用者に直接対応する部署に所属しています。三田は日吉の明るさとは一転アカデミックな雰囲気の図書館であり、長い歴史の中で収集された豊富な蔵書には、多数の個人文庫や特殊コレクションも含まれ、そうした資料の案内も重要な業務です。他にも、早稲田大学との共同運用による新図書館システムの検証作業や、大規模な資料移転計画など非常に達成感を感じる業務にも携わっています。

    これまでは、広く基礎を学ぶ「日吉」から専門課程を深く学ぶ「三田」への流れを体感し、そして「レファレンス担当」「選書担当」「閲覧担当」と様々なメディアセンターの業務を経験してきました。これからも利用者目線を忘れずに、なおかつ学生部をはじめとする塾内の他部署や他機関との連携・情報共有も意識した広い視点で業務に臨みたいと思います。

    メディアセンター本部 総務担当スタッフ(2013年入職:新卒採用)

    somu_staff2013年に慶應義塾職員として採用され、理工学部研究支援センター(現理工学部学術研究支援課)での1か月半の職場研修を経て三田メディアセンターに配属されました。三田メディアセンターでは慶應義塾が山中湖畔に所有する山中資料センター2号棟という遠隔書庫を新設するタイミングも重なったことから、所蔵する学術雑誌の利用頻度や電子化の有無などを調査し、資料移動の準備に明け暮れていました。最初は重複する資料を廃棄することなどに戸惑いもありましたが、本当に必要な資料を書架に納めるためには欠かせない作業であることも学びました。その後異動した理工学メディアセンターでは、教員や学生の研究・学習をサポートするために、電子ジャーナルや、データベースの使い方、資料の探し方などのセミナーなどを担当していました。所蔵している資料や、専門的なデータベースの使い方などを把握しなければならず、自分自身の日々の勉強も欠かすことができませんでした。自己研鑽ももちろん必要ですが、メディアセンターでは独自の海外研修制度が充実しており、米国ワシントン大学の図書館に半年間滞在する機会を得て、現地の図書館員の方と交流し、日本とは異なる考え方にとても刺激を受けることができました。現在はメディアセンター本部にて、学内他部署や他大学図書館等との調整役を担っていますが、影響を与える範囲の広さを意識するたびにメディアセンターのスケールの大きさを実感しています。

    メディアセンターは各キャンパスごとにあり業務内容も多岐にわたっています。しかし、わからないことや困ったことがあっても周りの人が助けてくれるので、恐れずチャレンジすることができます。できればすべてのメディアセンターで働いてみたいですね。

    海外研修制度