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江戸切絵図 芝三田二本榎高輪辺絵図 安政2(1855)年刊

江戸切絵図 芝三田二本榎高輪辺絵図 
景山致恭著 
江戸 金鱗堂尾張屋清七[版] 安政2(1855)年 1鋪 色刷

幕末の芝・三田・高輪周辺の地図です。全体に大きな白地が目立ちますが、ほとんどが大名屋敷で、右辺から四分の一、中ほどの三角白地「松平主殿頭中屋敷」の場所が、現在の慶應義塾大学三田キャンパスです。下辺の半円は海を表わし、海岸線の中央真上には「泉岳寺」の文字が見えます。左下辺の人家が建て込んでいるところは品川宿で、当時東海道を往き来する旅人で賑わいました。この尾張屋版「江戸切絵図」は一揃い全31図で嘉永2(1849)年から順次刊行され、全図でほぼ江戸全域(郊外を除く)をカバーしています。「切絵図」とはこのように、広い特定地域を分割して作成した絵図のことをいいます。大きな1枚ものの地図に比べ、取り扱いや携行が楽で、情報も盛り込みやすかったものと思われます。「江戸切絵図」には吉文字屋版や近吾堂版などもありますが、尾張屋版は明治初頭まで増補・再版などを繰り返し、多数の版が現存しています。そのため、絵図上に江戸から明治にかけての変化の激しさを見ることができます。 [127@9@25]