湘南藤沢メディアセンター(湘南藤沢図書館)

一般方針

基本方針

  • 湘南藤沢キャンパス(以下、SFC)における、学習、教育、研究を支援するための資料を収集する。
  • 予算、保存スペースを勘案し、図書館協力を前提として資料を収集していく。慶應義塾大学メディアセンターではリソースシェアリング(図書館資源の共有、分担収集)を推進しており、SFCメディアセンターでは、他地区メディアセンターの蔵書を調査・調整のうえ無駄な重複購入は避ける。
  • 利用実態調査から、利用の多くは学部生による授業関連であることが明らかにされている。選書対象とする資料は、出版流通本、または発行者による寄贈などによって入手できる新刊書を基本とし、言語は、日本語、外国語は英語を主要言語として収集していく。
  • 原則SFCメディアセンターが創設された1990年以降の出版物を収集する。
  • 学部、大学院のカリキュラム、授業科目を意識し、それらの学習、研究支援のための資料を重点的、積極的に収集する。
  • SFCの研究者の研究テーマ、大学院のプロジェクト科目、またSFC研究所が関わる各種の受託研究テーマに関しては、研究者の利用要求に応じられる最先端の資料の収集を目指す。
  • 資料のタイプによって、それぞれ選書基準を作成する。
  • 一般図書の選書については、収集するレベルを作成し、主題ごとに異なる収集方針で資料を収集する。
  • 限られた書庫スペースを有効利用するために、定期的に不要資料の見直しをし、除籍・廃棄を行い、ワーキングコレクションの維持に努める。

選書体制と関連業務

A. 資料収集

  1. 恒常的に出版社からの出版案内、書店の販売カタログ、新聞の広告・書評、出版社Webサイトの近刊・新刊案内等の選択ツールを調査して選定しています。また、洋書の場合は、見計い選定(書店が特定主題の図書を持ち込み、現物を見たうえで要・不要を判断する)や米国主要大学図書館の所蔵なども参考に選定しています。シリーズもの、全集などで蔵書にふさわしいものはシリーズ、全集が完結するまで継続的に購入するスタンディングオーダー(継続発注)体制をとっています。
  2. 電子媒体資料(スタンドアローン、オンライン)については主題ごとに担当のスタッフが定期的に調査して、可能な場合はトライアルを実施した後に選定しています。また、契約の際には可能な限り全塾で共有できるように調整して決定しています。
  3. 汚損・破損が激しいものは可能な限り、新しいものに買い換えています。

B. 選定スタッフ

  1. SFCメディアセンター事務長以下、専任スタッフ全員で選定を行っています。雑誌や逐次刊行物、高額資料については毎月定期的に開催するSFCメディアセンター資料選定委員会で選定しています。
  2. 教員からの推薦資料・購入希望も積極的に受け付けています。

C. 利用者への連絡・PR

  1. 毎日SFCメディアセンターWebサイトで新着図書データを公開・配信しています。
  2. 購入希望者へは購入の可否が決定した時点でその結果について連絡をしています。
  3. 新規データベース導入時にメディアセンターWebサイトデータベースナビを更新しています。
  4. 電子ジャーナルリストを最新の購読タイトルと利用可能範囲に定期的に更新しています。

D. 図書予算

  1. 担当のスタッフが日常的に管理しているほかに、定期的に開催される資料選定委員会で他のスタッフに予算の執行状況を報告し、購入計画について検討しています。
  2. メディアセンター協議会において図書予算執行状況および決算について報告をしています。また、予算編成時には図書予算申請額について承認を得ています。
  3. 予算編成においては、選書方針に合った資料を収集するために、また電子媒体資料の維持と充実のために毎年各予算項目について十分に見直しをし、各予算項目の配分を決定しています。
  4. 図書予算は最終的に慶應義塾大学メディアセンターと慶應義塾当局との折衝の後に決定されます。近年は慶應義塾の緊縮財政のためメディアセンターの図書予算も削減が求められているのが現状です。

選書体制と関連業務

全図書に対しての基本方針

アメリカ図書館協会(American Library Association)のガイドライン*を参考に、1~6まで収集するレベルを作成しています。

*Collection Management and Development Committee, Resources and Technical Services Division, American Library Association. Guidelines for collection development. American Library Association, 1979, pp. 3-5

A. Comprehensive level(網羅レベル)
B. Research level(研究レベル)
C. Study level(学習レベル)
D. Basic level(基礎レベル)
E. Minimal level(最小レベル)

  1. 網羅的収集 -- 刊行されるものすべてを収集する。
  2. 積極的収集 -- 研究者レベルの要求を満たすような資料、研究のサポートに必要と思われる専門性の高い資料、学術情報を収集の対象とする。SFCでの重点主題、研究の最先端を意識した収集を行う。
  3. 収集する -- 主題知識をより高めるための、主として学習レベルに必要と思われる資料を収集する。
  4. 選択的収集 -- 入門的な知識や概要を与えてくれるような入門書、概説書、また教養を高めるための資料を収集する。教育的、啓蒙的なものを収集する。
  5. 厳選する -- 基本的な著作、重要性が高いと思われる資料以外ほとんど収集しない。
  6. 収集しない
1.網羅的収集

Ⅰ. SFCの教員による著作物およびSFCによる公的出版物は漏れることのないよう網羅的に収集する。
Ⅱ. 特定の文庫・新書については 網羅的に収集し、文庫・新書棚に一括配架する。
Ⅲ. 継続的に発行される出版物で蔵書としてふさわしいと思われるものは、スタンディングオーダー(継続発注)で網羅的に収集する。

2.積極的収集

Ⅰ. 官公庁出版物、 政府刊行物出版情報を絶えずチェックし、積極的に収集する。ただし、一般啓蒙書、学習向きのものについては厳選する。
Ⅱ. 慶應義塾の中で、SFCでしか取り扱っていない主題、また研究プロジェクト科目などの重点主題に関する資料は、積極的に収集する。

3.収集する

Ⅰ. シラバスで指定された参考書・教科書
Ⅱ. 選定カタログで対象が大学生向きとなっているもの
Ⅲ. その他、購入希望が寄せられたもの

4.選択的収集

Ⅰ. 各部門の基本図書 -- 各主題分野の基本的な著作を収集する。
Ⅱ. 各部門の全集などのシリーズもの -- 叢書、講座類はなるべく購入する。ただし、文学の個人全集は選択して収集する。

5.厳選する

Ⅰ. 実用書、娯楽的図書は基本的に収集しない(→ Pブックコレクションへ)。但し、購入希望があったもの、類書のないものについては、必要に応じて収集する。
Ⅱ. 就職問題集については厳選する(→ Pブックコレクションへ)。
Ⅲ. 文庫、新書などの小型本については、決められたもの以外は基本的に収集しないが、必要に応じて購入する。
Ⅳ. 児童書は基本的に収集しないが、個人全集に児童書を含む場合、必要に応じて収集する。
Ⅴ. 通俗文学作品(小説、エッセイなど)は基本的に収集しないが、授業等で必要と思われるものと特定文学賞受賞作品については収集する(話題の小説、エッセイなど→ Pブックコレクションへ)。
Ⅵ. 1点100,000円以上の高額資料の購入については、資料選定委員会で検討する。
Ⅶ. CD-ROMの購入については、数値データ、二次資料を中心として選定する(図書の付録CD-ROMはこの限りではない)

重複基準

一般に、複本の需要が認められない限り、重複して収集することはありません。(看護医療学図書室との間でも調整しています。どちらかにあれば基本的に重複して購入することはありません。)

例外:シラバスに掲載された教科書・参考図書、教員が指定する指定図書

寄贈

SFCメディアセンターでは学部学生のための学習図書館として授業と密接な関係のある資料、大学生としての教養を高める資料を中心として収集しているだけでなく、大学院生・研究者の研究を支援するために研究者対象の資料も幅広く収集しております。SFCメディアセンターに資料の寄贈を希望される場合は、蔵書として受け入れるかどうかの判断はSFCメディアセンターに一任させていただきます。この蔵書構築方針に沿って資料ごとに受入の可否を決定いたします。SFCメディアセンターでは創設から20年が経過して、書架狭隘化の問題が日々深刻な状況になっております。また、慶應義塾大学では6地区に分散しているメディアセンターにおいて、書架スペースの有効利用のためリソースシェアリング(図書館資源の共有、分担収集)を推進しております。これらの理由から、ご寄贈いただいた資料は必ずしも蔵書にならない場合もありますので予めご了承ください。

SFCメディアセンターではSFCの教員著作(編集、翻訳も含む)を網羅的に収集しています。書籍等を刊行された場合は、ぜひSFCメディアセンターへのご寄贈をお願いいたします。

逐次刊行物の新規定期購読

SFCメディアセンターでは現在、約1,200タイトルの雑誌を定期購読していますが、必要・ご希望に応じて新規に選定し定期購読タイトルとして追加しています。雑誌は休刊、廃刊になることがありますが、このような場合は同様の主題で代替できるものがあればそれを購読します。また別のタイトルに変更されることもしばしばあります。タイトル変更後の雑誌も原則継続購読しています。冊子体からCD-ROMに媒体変換して刊行されるような場合(和雑誌に多くみられる)は、原則CD-ROM形態で継続しています。

慶應義塾大学メディアセンターでは書架スペースと図書予算を有効に活用するため、全塾でリソースシェアリング(図書館資源の共有、分担収集)の方針を取っています。雑誌については、6地区で主題による保存担当館制度をとっており、新規に講読する場合でも他地区メディアセンターの所蔵と調整し、重複購読はなるべく回避しています。新規に購入する場合は最新の巻号からの定期購読としバックナンバーは購入しません。主題によっては遡って購入する場合もありますが、原則1990年以降のものとなります。復刻によるものはその都度検討します。

和雑誌

希望タイトルを常に受け付けています。和雑誌は利用頻度が高い資料ですので、必要に応じて他地区と重複して購入する場合があります。

洋雑誌

洋雑誌購読については海外の出版社、書店の商慣習からメディアセンターでは、翌年1月~12月分について前年の10月頃に新規購読も含めてリニューアル契約(契約更新)を行っています。新規購入希望雑誌については8月頃までに希望を出していただきますようお願いいたします。また、新規購入洋雑誌は、電子ジャーナルで利用できる場合は、冊子体(紙に印刷されたもの)は基本的に購入せず、電子媒体の形で契約する方針を取っています。

保存

SFCメディアセンターの所蔵資料は比較的新しいものが多く、自然劣化に対する対策、酸性紙対策は特にしていません。修理・買い換え等は書架点検の際に対象となるものを随時取り出して、貸出状況に応じて対処しています。汚損・破損図書は購入可能な限り買い換えをしています。また、SFCにおける研究課題の特性として年限付きプロジェクトが多いことが挙げられます。それに従い研究課題も変化していき、常に新しい情報が必要とされていることから、すべての資料が永久保存の対象とはなっていません。

主題による保存方針

建築、都市計画、環境デザイン、ランドスケープデザインについてはSFCの主たる主題のひとつで、慶應義塾大学のなかでもユニークな分野として、重点的に収集しているだけでなく保存にも努めています。

形態による保存方針

新版を受け入れることによって、旧版には価値がなくなったと認められた図書・参考図書などは永久保存せず、除籍して最新のものに買い換えています。映像資料はDVDがあるものはDVDで保存しています。雑誌はリソースシェアリング(図書館資源の共有、分担収集)の方針により、他地区メディアセンターと重複して購読する場合は保存する年限を限定しているものもあります。

除籍・廃棄

除籍規定

新刊書を収集するのと同じように、不要になった特定の資料を除籍・廃棄することも蔵書構築の大事な要素です。SFCメディアセンターでは以下のような場合に除籍・廃棄を実施しています。また適宜利用調査を実施し、利用度の実態を検証したうえで除籍・廃棄の決定をしています。

A. 亡失除籍
  1. 利用者が資料を紛失した場合
  2. 蔵書点検した際、「欠本」(行方不明)となり、その状態で一定期間経過した場合

除籍対象となった資料については、内容を調査し、必要と判断された場合はその時点で入手可能ならば補充しています。 また、利用の多い資料と考えられる場合は、除籍を待たず補充をすることもあります。

B. 破損・汚損除籍
  1. 破損や汚損がひどく、利用に供しがたい場合
    利用者の過失によることが明らかな場合、利用者に弁償していただくことがあります。
  2. 修理不可能な場合
    破損・汚損による除籍は発見した都度、必要に応じて行っています。除籍対象となった資料については、内容を調査し、必要と判断された場合は、その時点で入手可能ならば資料の補充をしています。
C. 不要除籍
  1. 累積版の受入によって、各冊の価値がなくなったと認められた場合(月刊の冊子体にかわり1年のデータをまとめた年間累積版が発行された場合など)
  2. 重複購入した資料で、複本措置が不要になったと認められた場合(教科書や必読参考書として複数購入した重複資料で利用頻度から役目を終えたと判断した場合など)
  3. 媒体変換によって、以前の媒体資料に利用価値がなくなったと認められた場合(冊子体で刊行されていたものがCD-ROMで刊行される、あるいはオンラインで利用できる場合など)
  4. 内容が年を追って逐次改訂され、あるいは改版等により改訂され、旧版が利用価値を失った場合(但し、史料的価値の認められるものを除く)
  5. 内容が今日的な利用の意義を失ったと判断された場合

不要除籍は発生した都度、必要に応じて行っています。一般図書、参考図書は4.を基本方針として経常的にこの処理を行っています。

資料のリサイクルについて

A. メディアセンターでは不要になった資料のうち、図書、未製本雑誌、視聴覚資料については利用者に放出しています。
B. 不要になった図書が全集などの場合、他地区メディアセンターで所蔵している同タイトルに欠本があれば補充について問合せ、希望があれば寄贈しています。
C. 不要になった雑誌の場合、他地区メディアセンターで所蔵している同タイトルに欠号があれば補充について問合せ、希望があれば寄贈しています。
D. 不要資料が特定主題のコレクションで利用に十分耐え得る場合は、国内、海外の他大学図書館へ寄贈する場合もあります。
E. 最終的に廃棄される不要資料はリサイクル業者などに引き取りをお願いしています。